『アイの物語』にSFの可能性を見せつけられた

アイの物語

代表作「神は沈黙せず」が最近文庫化された山本弘さんだが、これからは、彼の代表作は『アイの物語』になると思う。すばらしい作品

人類の夢や希望、祈りを描くメディアとしてのSFの可能性を見せつけられた。ナショナル・アイデンティティとか国家の品格とかが好きな人は嫌うだろうけど、「そんなことはみんな、宇宙人に会ったら細かい話になっちゃうぜ」と思っている私にとって、宇宙人に会わなくてもいいかもしれないことを教えてくれるアイの物語はなかなかの福音だった。でも、それについてはここでは書かない。読んで損はないから、そのときのお楽しみに

ここで描かれている水準までロボット技術が進歩するというのは、技術的にはかなり難しいことだと思う。それでも、出てくるだけでひいてしまう「ロボット3原則」の代替原則の提示の仕方など、SFのSの部分がなかなか気が利いているから(といってもハードSFではないが)、想像力でついていくのに無理する必要はない

「どうやって実現するんだろう」と思うとたいていのSFはついていけなくなるわけで、この作品も「遺伝的アルゴリズム」なんかがでてくるとちょっとほほえましい感じにならざるを得ない。まあ、一般の読者が引っかかることはないはず。近い人はこれを励みにがんばってね(そもそも、技術的なことをあまり気にするとSFは読めないのだから、どうでもいいか)

ともかく、「2006年のSF」を一冊だけ挙げるとすれば本書ということになるはず。あー、イーガンの短編はどうなのかって、それはまた別の機会に

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