Pride and Prejudice、翻訳読み比べ(その1)

ジェーン・オースティンの翻訳を並べておいたら、「どれがおすすめなの?」と訊かれました。よくわからないので、有名な冒頭部分を比べてみましょう。

まずは原文から。

It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune, must be in want of a wife.

However little known the feelings or views of such a man may be on his first entering a neighbourhood, this truth is so well fixed in the minds of the surrounding families, that he is considered the rightful property of some one or other of their daughters.

自負と偏見 (新潮文庫)行方昭夫『英文の読み方』において、名訳として紹介されている中野好夫訳(新潮)

独りもので、金があるといえば、あとはきっと細君をほしがっているにちがいない、というのが、世間一般のいわば公認真理といってもよい。

はじめて近所へ引越してきたばかりで、かんじんの男の気持ちや考えは、まるっきりわからなくとも、この真理だけは、近所近辺どこの家でも、ちゃんときまった真実のようになっていて、いずれは当然、家のどの娘かのものになるものと、決めてかかっているのである。

高慢と偏見〈上〉 (岩波文庫)富田彬訳(岩波)

相当の財産をもっている独身の男なら、きっと奥さんをほしがっているにちがいないということは、世界のどこへ行っても通る真理である。

つい今し方、近所に来たばかりのそういう男の気持ちや意見は、知る由もないけれど、今いった真理だけは、界隈の家の人たちの心にどっかりと根をおろして、もうその男は、自分たちの娘の誰か一人の旦那さんときめられてしまうのである。

高慢と偏見〔新装版〕 (河出文庫)阿部知二訳(河出)

独身の男性で財産にもめぐまれているというのであれば、どうしても妻がなければならぬ、というのは、世のすべてがみとめる真理である。

はじめて近所へきたばかりの人であってみれば、彼の気持ちや見解は、ほとんどわかっていないわけだけれども、周囲の家々の人の心には、この真理はかたく不動のものとなり、その人は当然、われわれの娘たちのうちのだれかひとりのものになるはず、と考えられるのであった。

高慢と偏見 上   ちくま文庫 お 42-1中野康司訳(ちくま)

金持ちの独身男性はみんな花嫁募集中に違いない。これは世間一般に認められた真理である。

この真理はどこの家庭にもしっかり浸透しているから、金持ちの独身男性が近所に引っ越してくると、どこの家庭でも彼の気持ちや考えはさておいて、とにかく家の娘にぴったりなお婿さんだと、取らぬタヌキの皮算用をすることになる。

エキサイト翻訳

それは、幸運の所有物の独身者が妻を必要としたそうであるに違いないという一般に承認された真実です。

少ししか知られないで、そのような男性の気持ちか視点が、彼が彼が最初に近所に入るとき、この真実が周囲の家族の心であまりによく固定されていて、約1の正しい特性であると考えられて、彼らの娘で他ということであるかもしれません。

Google翻訳

これは普遍的真理を認め、それはいい財産を所持してただ一人の男は、妻にする必要がありますされているのだ。

しかし彼の最初の小さな一地区に入るにすることができるような人間の感情や意見呼ばれ、この真実にも周囲の家族の心の中には、彼はいくつかのいずれかまたはその人の娘の他の正当な財産と考えている固定されています。

この部分だけ見れば中野好夫訳がいいような気がしますが、別の場所で比較すると気に入らないこともあるんです。(その2その3

追記

B00H6XBAMG小尾芙佐訳(光文社)

独身の青年で莫大な財産があるといえば、これはもうぜひとも妻が必要だというのが、おしなべて世間の認める真実である。

そうした青年が、はじめて近隣のひととなったとき、ご当人の気持だとか考え方などにはおかまいなく、周辺の家のひとびとの心にしっかり焼きついているのはこの真実であり、その青年は、とうぜんわが娘たちのいずれかのものになると考える。

4102131043小山太一訳(新潮社)

世の中の誰もが認める真理のひとつに、このようなものがある。たっぷり財産のある独身の男性なら、結婚相手が必要に違いないというのだ。

そんな男性が近所に越してきたとなると、当人がどう思っているか、結婚について何を考えているかなどお構いなし。どこの家庭でもこの真理が頭に染みついているから、あの男は当然うちの娘のものだと決めてかかる。